M&Aの進め方
最初にやるのは、値段の話ではありません。
電設の会社の承継では、許認可と有資格者の整理が最初です。 ここに問題があると、条件が固まってから話が振り出しに戻ります。 全体でおおむね6か月〜1年。順を追って説明します。
- 1
匿名でのご相談
1日〜社名を伏せたままで結構です。「うちはいくらぐらいか」「後継者がいないがどうすべきか」という段階のご相談を歓迎します。費用はかかりません。ご希望の連絡方法・時間帯を必ず先に伺います。
- ご面談の場所は、御社の事務所以外を指定していただけます
- 会社の代表番号にご連絡することはありません
- この段階で契約書を交わすことはありません
- 2
許認可と有資格者の棚卸し
1〜2週間ここを最初にやります。建設業許可の「経営業務の管理責任者」を社長以外が満たしているか、主任電気工事士は誰か、電気工事業登録の種別は何か。ここに問題があると、条件が固まってから話が振り出しに戻ります。
- 社長しか要件を満たしていない場合、対策には時間が必要です
- 早い段階で分かれば、人材の確保や資格取得を先に進められます
- 株式譲渡・事業譲渡・合併で許可の扱いが変わるため、ここで方式も検討します
- 3
企業価値の整理と資料づくり
2週間〜1か月決算書に出ない価値を、買い手に伝わる形にします。在庫の品種別の年齢、仕入口座の一覧、有資格者の内訳、保守契約の本数、工事台帳の粗利。ここが評価額を最も大きく動かします。
- 役員報酬・保険料など、実質的な利益に戻せるものを整理します
- 「決算書では見えない強み」を資料として言語化します
- この段階で、譲渡価格のレンジの見通しをお伝えします
- 4
買い手候補の選定
1〜2か月情報が業界内に回らない相手を選んで打診します。打診してほしくない先があれば、最初に伺って候補から外します。秘密保持契約を締結するまで、社名・所在地はお伝えしません。
- メーカー筋・商社筋に情報が回りうる相手は外します
- まず社名を伏せた概要(ノンネーム)のみで打診します
- 関心を示した先とだけ、秘密保持契約を締結して詳細を開示します
- 5
トップ面談・条件のすり合わせ
1〜2か月経営者同士でお会いいただきます。価格の話の前に、従業員をどうするか、屋号を残すか、社長がいつまで関わるかを確認します。ここが合わないと、価格が合っても後で壊れます。
- 面談の場所・日程は、周囲に知られない形で設定します
- 価格以外の条件(雇用・屋号・引き継ぎ期間)を先に詰めます
- 基本合意までは、いつでも降りていただけます
- 6
デューデリジェンス
1〜2か月買い手による調査です。事前に資料を整えてあれば、ここで大きく揉めることは減ります。指摘が出た場合も、事実を隠さず、対応策とセットで説明します。
- 会計・法務・労務が中心。業種によっては許認可も対象になります
- 外部の専門家に依頼する費用が発生する場合は、事前にご説明します
- 7
最終契約・引き継ぎ
1か月〜契約を締結し、譲渡を実行します。代表者保証の解除がきちんと実行されるかを契約で担保します。ここを曖昧にしたまま進めると、会社を渡したのに保証だけ残るという事態が起こり得ます。
- 代表者保証の解除・移行を契約条項として明記します
- 従業員・取引先への開示の順序とタイミングを一緒に設計します
- 譲渡後の引き継ぎ期間中も、必要に応じてご相談を承ります
よくあるご質問
全体でどれくらいの期間がかかりますか。
ご相談から成約まで、おおむね6か月から1年程度が目安です。上場しているM&A仲介大手でも平均7.2か月という数字を公表しています。ただし、許認可の整理に時間が必要な場合や、買い手候補を広く探す場合はさらにかかります。逆に、相手が最初から決まっている場合は3〜4か月で完了することもあります。
途中でやめられますか。
やめられます。基本合意を締結するまでは、いつでも中止していただけます。中止された場合も、当社にお支払いいただく費用はありません。最終契約の締結後は、契約上の義務が生じます。
従業員にはいつ伝えるのですか。
通常は最終契約の締結後、または締結直前です。早く伝えすぎると、確定していない話で現場が動揺し、退職につながることがあります。ただし、番頭格の方や経理を担当している方は、途中から巻き込まざるを得ない場合があります。誰にいつ伝えるかは、必ず事前に一緒に設計します。
代表者保証はどうなりますか。
M&Aで最も重要な論点のひとつです。株式を譲渡しても、金融機関との保証契約は自動的には外れません。買い手が引き継ぐか、金融機関に解除してもらう必要があります。当社は、この解除・移行が確実に行われるよう、最終契約の条項として担保します。ここを曖昧にしたまま進める仲介があり、実際にトラブルになっています。